第1話 悪夢の始まり…

忘れもしない平成12年1月16日・日曜日。


その日は友人と食事に行く約束をしていたけれど、
どうしてか気が乗らずキャンセルをして
一人暮らしの部屋でボーっと過ごしていた。

さて、ビデオでも観ようかな♪

とレコーダーの電源を入れようとするが、電源が入らない。どうやら、壊れたらしい。

仕方なく音楽でも聴こうとラジカセの電源ボタンを押すが、アレ!?これも電源が入らない!
え?ナニコレ?? 今日はやたらと電化製品が壊れる日だなぁ。不思議なことが続くもんだわ。。

その時、電話が鳴りだした。


プルプルプル・・・


夕方5時頃だったろうか、固定電話のベル音だった。

「もしもし?」と出てみると、それは叔母の声だった

私はすぐにピンと来た。

【母の身に、何か起きたんだ!!】

その叔母は私の母の弟のお嫁さんで、母の実家の近くに住んでいたが普段はほとんど交流がなかった人だからだ。叔母は優しい声でこう言った。

「ゆめちゃん、落ち着いて聴いてね。お母さんが庭で倒れてね。今ドクターヘリで〇〇病院に向かってるのこれから病院の連絡先を言うからメモ出来る?」

妙にこちらを気遣う叔母の声が、逆に不安を煽り立てる。

【母はもう死んでしまったのだろうか…?それともまだ生きているのだろうか…?】

頭の中でそんなことを思いながら、病院の場所をメモした。

『人は驚きすぎると冷静になる』

とはよく聞くが、この時の私がまさにそうだった。
いや冷静だったというよりも、【冷静にならなくちゃ!】と必死に自分に言い聞かせていたのだと思う。

黙々とメモを取り「叔母ちゃん、連絡ありがとう」と受話器を置き、病院へ持って行く荷物をカバンに詰め込んだ。

「ええと…、保険証と印鑑と、お金?」
などと何度もつぶやきながらカバンに押し込んだ。

つもりが・・・

何故か頭と身体が思うように連動しない。

【早く必要な物を探して詰めないと!】
【いや、とにかく病院に行かなくちゃ!】

頭が混乱して胸がバクバクする。変な汗も出てきた。

「ええい!とにかく現金だけ持ってけば、後は何とかなるさ!」

取るものもとりあえず、大きなカバンを抱えて
病院へと向かった。

ウイィーーーン!!!

病院の自動ドアが開いた。

※これは全て、実話です。

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